幼い頃の話になるが、お盆や年末に祖母の家に帰省する際、駅付近の本屋に寄って漫画本を購入してから向かう、という不思議な習慣があった。
「あら、クレヨンしんちゃんがあるよ。」
恐らく母が本当にたまたま見つけて言ったのだと思うが、それからというもの帰省する際には毎回必ず、持っていない巻のクレしんを買ってから祖母の家に向かうようになった。
今改めて読んでみると(母は普段マンガを読まないから知らなかったのだと思うが)クレヨンしんちゃんが連載していた漫画アクション(現在はまんがタウンにて連載)という雑誌は青年向け雑誌であり、子供向けの内容ではない。幼稚園児か小学生だった自分にとってはよくわからないネタもあって、当時は「?」となることが多かった。それでも、「したいごっこ」「前が見えねェ」など強烈なネタは本当にインパクトがあって、今でもはっきり憶えている。
購入するときは毎回弟と相談して、「私は7巻を買う!」「じゃあ俺は8巻!」といった風に順序良く揃えていった。弟のほうが読むのが遅かったので、早く読んでしまった私は次巻の読みたさのあまりに弟を急かしたりした。
そんな習慣がいつの間にかなくなっていた頃、「クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」という映画を見た。確かテレビでやっていたのを録画して何度も見ていたのだと思うが、登場キャラクターの一人の「ス・ノーマン・パー」が本気で怖くていつもそのシーンだけ早送りして見ていた。マカオとジョマの一連の流れに弟が本気でハマってしまったらしく、一日中そのシーンだけ見ていたりした。ビデオテープが擦り切れて壊れた。
それからというもの、しんのすけの映画は毎回放映されるたびに欠かさず見ていたように思う。タイトルはきちんと憶えていなかったり、要所要所忘れていたりはするのだが、その強烈なキャラクターを見ると、ああこの映画見たことがある!とすぐに思い出せる。
今でも我が家の金曜日のゴールデンタイムは、テレビ朝日がかかっている。
臼井先生は『漫画家は謎めいていたほうがいい』『夢を売る仕事だから』と、やたらイケメンな自分を漫画や映画に登場させたりしていて、そのイメージが兎に角強くて、また、私はそれを見て笑っていたのだが、今となってはもうショックで暫くそのギャグが載っているコミックスも読み返せそうにない。
臼井儀人先生のご訃報に接し、心から哀悼の意を表します。